全国リーグへ羽ばたいた南葛SC WINGSの開幕戦はほろ苦い結果に

 2024年、風間八宏が南葛SCトップチームの監督兼テクニカルダイレクターに就任し、クラブ全体で「ボールはともだち」の哲学を体現するサッカーを目指した。その風間監督のもとでサッカーを学んだ松本彰（現・総監督）が昨年、女子チーム・南葛SC WINGSの監督に就任。初年度で悲願のなでしこリーグ2部昇格を果たした。

そして迎えた3月15日（土）、WINGSは新たなステージでの戦いをAGFフィールドでスタートさせた。この日は試合中に雨が降り始め、時間の経過とともにピッチコンディションが変化する中での戦いとなった。対戦相手はSEISA OSAレイア湘南FC（以下レイア湘南）。２年前まで関東女子サッカーリーグでしのぎを削ったライバルで、2024年から一足先になでしこリーグ参戦を果たしている。

序盤、WINGSが高い位置でボールを保持し、主導権を握る展開となった。前半2分には司令塔のMF菅野永遠がペナルティエリア外から直接フリーキックを狙うも、ボールはクロスバーをわずかに越える。

先制点を奪ったのはレイア湘南だった。前半5分、遠目のFKをFWが頭で合わせ、立ち上がり早々に失点してしまう。

WINGSは中盤でのボール奪取からショートカウンターを試みるが、レイア湘南の素早い戻りに阻まれ、なかなかゴールを割ることができない。迎えた前半27分、レイア湘南のFWがWINGSの最終ラインの裏へ抜け出し、右足を振り抜いて追加点。2点のビハインドを背負うこととなった。

WINGSもすぐに反撃に転じる。前半31分、相手GKがボールコントロールをミスした隙を逃さず、FW町田朱里が素早く反応し、ゴールへ流し込んで1点を返す。勢いに乗るWINGSは直後の34分、菅野のパスを受けたMF佐藤幸恵が独走から放ったシュートは、わずかにゴール右へ外れた。
200人を超える地元葛飾サポーターの声援を受け、WINGSは攻勢を強めたが、前半34分、サイドバックの裏のスペースを突かれ、再び失点。2点差とされる。前半44分に失点を許し、スコアは1-4。大きなビハインドを負ってハーフタイムを迎えた。

後半、松本総監督はMF竹ノ谷好美、南葛SC WINGSアカデミー出身の18歳吉田海結をピッチに送り込む。76分には新加入の大宮琴冬音、86分には元韓国U-17代表のリュウ・スジョンを投入し、中盤の再構成を図った。最後までパスをつなぎ、攻撃の糸口を探し続けたWINGSだったが、得点は動かぬまま試合終了。なでしこリーグ2部初戦は、試練の一戦となった。

試合後、松本監督は選手たちに対し、「昇格により相手のレベルも上がる。それを全員が開幕戦で実感できたことが重要だ。自分たちのスタイルを変えずに取り組もう」と語り、チームの方向性を改めて強調した。

また、開幕戦を終えて「いよいよシーズンが始まったというのが率直な感想。これがまた日常になっていく。まだ試合は続くので、しっかりやるべきことに取り組んでいく」と前を向いた。