前半半ばまでのリズムがよくなかったことは、風間八宏監督の采配を見ればわかるだろう。1週間前同様、指揮官は前半のうちに推進力のあるアタッカー、佐々木達也を投入したのだ。佐々木はすぐに期待に応える。前へ向かう意識を高めるだけでなく、45＋1分にはセットプレーのこぼれ球を豪快なボレーで蹴り込み、チームに先制点をもたらした。
　
ハーフタイムの風間監督からのメッセージを、外山佳大はこう振り返る。「ボールを受けてから横ばかり選んでいる。そうではなく、全員で相手ゴールを目指そうと。明らかに後半のほうが選手同士の距離感がよくなり、いつもの練習で見られるプレーに近づいたなと感じました」
　
試合終了直前のPK献上により、最終的なスコアは1-1。それでも外山の好セーブもあり、PK戦で勝利をつかみ取った。SHIBUYA CITY FCの3人目のキッカーは、90＋5分にゴール右下へのPKで同点弾を挙げた9番の選手だった。外山が言う。
　
「試合中のPKでは、右下にけっこうなスピードのボールを蹴り込んできました。きっと9番の選手はあのコースへのキックに自信を持っている。だからもう一度同じコースを狙ってくる――そう信じて飛んだら読みが当たりました」
　
この勝利で、東京カップ決勝に進出するとともに、JFLのチームと対戦する天皇杯東京代表社会人決定戦への出場が決定。南葛SCとして、公式戦でJFL勢と対戦するのは初めてのこととなる。